研究テーマ概要

光・熱反応を利用した可逆的な環・直鎖の切り替え

 環状高分子トポロジーに起因して材料物性が大きく変化することは上の研究で示したとおりですが、この研究では材料物性の切り替え制御を目指して、直鎖状と環状の可逆的高分子トポロジー変換の検討を行いました。過去に報告された直鎖状-環状の可逆的なトポロジー変換プロセスでは、有機溶媒中において重金属を含む試薬の添加が必要という欠点がありました。そこで、本研究では水中での光・熱照射で直鎖・環を切り替えるという低環境負荷のトポロジー変換を提案するものです。つまり、可逆的に光・熱で二量化および開裂するアントラセンおよびクマリンに着目し、水溶性・生体適合性高分子として知られるポリエチレンオキシド(PEO)の両末端に導入して、可逆的なトポロジー変換を達成しました(図8)。
[*Yamamoto, T.; Yagyu, S.; Tezuka, Y. Light- and Heat-Triggered Reversible Linear-Cyclic Topological Conversion of Telechelic Polymers with Anthryl End Groups. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 3904-3911]


               
図 8